2013年12月22日日曜日

薄化粧

禁漁期間に入り、早数ヶ月経ちました。年が明ければあっという間に、新たな出逢いを求めて渓に向かう時期がやってまいります。
このブログの読者様方々におきましては、来年の解禁日に向け着々と準備を整えられておられることと思います。

大変遅くなりましたが、今シーズンの最終釣行記をUNDER WATER GRAFFITIにて書かせていただきました。

時期外れではありますが、何卒宜しくお願い致します。

”薄化粧”

http://underwatergraffiti.com/hiroshima/secret-river-hiroshima/troutfishinginjapan/

  • 広島県・某渓流
  • 薄化粧

  • 文と写真=KAWA, 編集=UWG / 2013.08.18

8月も終盤にさしかかり、日中の猛暑とは裏腹に早朝はうっすらと肌寒さを感じられるようになった。
“きっと川の中も季節が移ろい始めている頃だろう”と、少しずつ秋のヤマメを意識し始めた私は今シーズンの釣りを締めくくるべく、県北の渓へと向かった。

ひんやりとした山の空気と、朝日の差し始めた美しい渓に迎えられ、最後の一匹への期待はみるみると膨んでいく。釣り人が考えることは皆同じようで、禁漁日がさし迫ったこの時期ともなれば入渓点には多くの足跡が残されており、おまけに連日の猛暑と渇水が今日の釣りの難しさに拍車をかけていた。


予想通り、打てども打てども魚からの反応はない。
夏と秋の混在するこの時期の付き場を再々意識しながら、コースとレンジを変えつつ、無言の渓にキャストを繰り返し、少ないチャンスをたぐり寄せていく。

半ば諦めかけた頃、狙い通りの場所で待ちに待った一匹が応えてくれた。ようやく手にしたその魚は、まさしく私が心待ちにしていた晩夏の宝石であった。

鰓蓋に掛かるその色は、まるで薄く塗られたチークのよう。
水という自然のフィルターを介せば、得も言われぬ鮮やかさが浮かび上がる。

うっすらと広がった秋色がパーマークと黒点を染め始め、命を繋ぐ季節が近づいてきていることをひしひしと感じさせた。もう少し季節が進めば、さらに秋色は深まり、悲しくも美しい死化粧へと変わっていく。パーマークが流れ、黒くサビた厳めしい姿もまた違った美しさを感じさせるものだが、その頃の魚に出会うことは広島の渓では叶わない。だがそれは、種の存続を願えば、とても喜ばしいことなのだ。

いつまでも此処で美しい魚に出逢えることを祈り、そっと元の流れに戻す。
力強く泳いでいく姿を見送り、忘れ得ぬ出逢いをくれた川に感謝した。

はたして来期はどんな出逢いと感動が待っているだろうか。

  • Tackle Data
  • Rod » M-AIRE TB-56L
  • Reel » 10STELLA C2000HGS
  • Line » よつあみ G-soul X3 0.6号
  • Leader » VARIVAS Light Game 7lb
  • Lure » schindler BENKEI original トラウティストブルー
  • Camera » Nikon D300  RICOH GRD4
  • Lens » Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D