2014年10月15日水曜日

深山の秋鱒

UNDER WATER GRAFFITIにて鳥取遠征2日目の記事を書かせていただきました。

”深山の秋鱒”

Blogの記事とかぶる所もありますが、宜しくお願い致します。


  • 鳥取県・某渓流
  • 深山の秋鱒

  • 文と写真=KAWA, 編集=UWG / 2014.09.15

九月も半ばに差しかかる頃、秋ヤマメを求めて1泊2日の旅に出た。目指す場所は鳥取県の山間を流れる渓流。深夜から車を走らせ、細く険しい山路を右往左往しながら、現地に到着したのは10時を少し過ぎた頃だった。今回釣り歩いたのは標高およそ1000メートル付近の源流部にあたるエリア。初めて訪れる場所ということもあって、初日は下見を兼ねた広範囲を探る釣りになった。
原産地の欧州では貴婦人とも称されるブラウン。鱒族を賛美する心は万国共通らしい。
釣りはじめこそ渋かったものの人生初のブラウントラウトや朱点の美しいアマゴに出逢うことができた。初日としては、まずまずのスタートが切れたのではないだろうか。その後も本流筋を釣ってみたが、残念ながら1日目は本命である秋ヤマメの姿を見ることはできなかった。

秋ヤマメを探して

2日目は、1日目の経験を踏まえつつ地図とにらめっこしながら新しいエリアを開拓することにした。ざっくりと決めていた場所へ暗いうちから車を走らせ、目ぼしいポイントを探す。
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だんだんと夜が明けてきて川の表情がはっきりしてくると、この辺りは瀬が多いことに気がついた。秋ヤマメを蓄えていそうなポイントが思うように見つけられず、あちこち回っているうちに稲刈り機のエンジンがけたたましく鳴りはじめ、いつの間にかすっかり周囲は明るくなっていた。車内からはここぞというポイントが見つけられそうになかったので、やむなくベターなポイントに入川し釣り歩くことにした。
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川べりに立ち、ティムコのシュマリ67を結ぶ。すすきの穂が揺れ、稲わらの香りが秋風に混じって鼻腔を吹き抜けると、心なしか秋ヤマメの気配まで感じられるようだった。足元には先行者と思しき足跡が見られ、相変わらず平坦な瀬が続いている。良い状況とは言えなかったが、急ぎ足で先へと進むうちにようやく良い流れと出くわした。明るくなったとはいえ、曇り空では十分な光量が得にくい。このポイントに賭けるべく、反射面積の広いEGOIST・Leaf-5のハデパゴスカラーを結びつけた。
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流れに馴染ませたミノーに2,3度ヒラを打たせた直後のことだった。ゴンッという衝撃とともにティップが絞り込まれ、流れを断ち切るように水中で黒い影が翻る。姿を現したのは、精悍な雄の秋ヤマメだった。
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ようやく念願の出逢いを果たすことが出来た。鼻は曲がり、魚体は秋色に染まって、パーマークが流れ始めている。このサイズになると尾びれも立派だった。撮影を終え、流れに戻って行く姿を見送り、私は拳を強く握りしめた。

ゴギか?ニッコウイワナか?

思い通りの結果に満足した私は、せっかくなので広島には居ないニッコウ系のイワナの顔を見て帰ろうと別の支流を目指した。
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支流に入り程なくして、一匹のイワナを手にすることとなった。しかし、このイワナ何かおかしい。どこからどう見てもニッコウ系では無かったのである。
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大きな白点と頭まで入る虫食い模様はまるでゴギのようだった。しかし、同じような特徴はあれど、背中から頭に掛けての白点の大きさがゴギよりも小さい。鳥取県でゴギが確認されているのは日野川の上流だけらしいので、この魚はこの辺りのゴギ系統のイワナなのだろうか。秋ヤマメに続き、この変わったイワナの出現に十分満足できた私はここで退渓することにした。この水系の懐は深く、まだまだおもしろい発見がありそうだ。
  • Tackle Data
  • Rod » M~AIRE TB56L
  • Reel » 10STELLA C2000HGS
  • Line » よつあみX8 0.6号
  • Leader » フロロカーボン7lb
  • Lure » EGOIST Leaf-5 ハデパゴス
  • Camera » Nikon D300/RICOH GRⅣ
  • Lens » AF MICRO NIKKOR60mm

    2014年10月13日月曜日

    深山の鱒

    未だ見ぬ鱒と秋ヤマメを求めて1泊2日で鳥取へ。

    目的の渓を目指し、運転が不安になるほどの山道をひたすら登る。

    辿り着いた先は標高も高く、イワナが良く釣れそうな感じ。
    ”本当に此処に居るのか?”

    そんな思いを抱きつつも、時折あるチェイスの主を確認するため先へ進んだ。

    しばらく何も反応が無い区間が続く。

    そろそろ、移動しようかと思った時、出逢いは訪れた。
    小さいながらも、その姿はまさにブラウントラウト。

    手早く撮影を済ませ、流れに戻し更なる一匹を目指す。
    同じようなサイズがポロポロと釣れ続き、少し水深のある場所に辿り着いた。

    少し大きめのMDであるチェプを結び、ゆっくりとリトリーブさせると良い手応えとともにロッドが美しいベントカーブを描いた。
    ネットに収まったのは金色に輝く綺麗な一匹。
    頬も黄金に輝き、その姿はドラードを思わせる。
    体側にちりばめられた二色の点。それを縁取る白には、なかなかの自然のアートだと感じた。

    この一匹を最後に、急に水が濁りだし、あっというまに土茶濁りに。

    まだまだ奥まで行きたかったのだが、その先は次回に取っておくことにして、もう一つの目的である秋ヤマメを探しに別のエリアへ向かう。

    初見の川なので地図とにらめっこしながら、大体の目星をつけ移動を繰り返したが、瀬が多くなかなか良い場所も見つけられず、魚からの反応も無く時間だけが過ぎていった。
    日も傾き、此処で最後にしようと入った区間でようやく納得の一尾が出てきてくれた。

    ネットに収まったのはヤマメではなく、透明感のある綺麗な夏の装いのままのアマゴであった。
    体高のある魚体に流れるような独特のパーマークの個体。
    体側にちりばめられた朱点も大変美しい。

    秋ヤマメは翌日に持ち越しとなったが、パーフェクトな美魚の登場で、初日を満足して締めくくることが出来た。